雲龍文存星輪花食龍
ウンリュウモンゾンセイリンカジキロウ
概要
十六弁輪花形の大合子(食籠)。意匠は回文つなぎで縁取りした蓋表中央に五爪の龍と、その周囲に4龍を配し、雲文・火焔・宝珠を散らしている。蓋の側面は花弁形内部にそれぞれ雲龍文を、合口部には雲と蝙蝠、身の側面には立浪と須弥山を反復して描いている。いずれも図様は黒・朱・緑・黄漆で描いた後、その輪郭を線刻し、これに金箔を充填したもので、この技法を存星(ぞんせい)と呼ぶ。存星は明時代中国で盛行し、我が国にも輸入され珍重された漆芸品である。本品はその大振りで力強い器形、雲龍文の形式からみて万暦頃(1573―1619)の作と思われる。