自画像
概要
1896(明治29)年、神奈川県横浜市に生まれた村山槐多は、4歳の頃に父の転任で京都に移住する。京都府立第一中学校を卒業後、従兄弟の山本鼎にすすめられ画家を志して上京する。健康状態が不安定で、経済的は恵まれなかったが、1914(大正3)年に日本美術院の研究生となった。院展で受賞を重ね、洋画家として注目を浴びた。
村山は多感な青年であり、中学時代に画家としてまた詩人として才能を発揮し始める。当時の詩文には色彩に関する独自の語彙が多く残され、詩人としての鋭い感覚がうかがえる。その後、22歳で夭折するまで、絵を描くことが主体となり、詩作は画家として彼自身を奮起させる要素となった。
本作は、20歳の頃に描いた自画像である。褐色を基調にして全体を描き、白やオレンジの明るい色彩を力強い筆触で強調している。眼鏡の奥からのぞく鋭い視線には、何事にも怯むことなく真っすぐに突き進む青年画家の自我が表現されている。