広形銅矛
ひろがたどうほこ
概要
この作品は、弥生時代後期に北部九州に分布する広形銅矛です。矛は本来、身に長い柄を差し込んで鋭い刃でつきさすための武器でした。しかし、この矛はどうでしょう。柄を差し込むための穴は土でふさがれており、刃の部分も研がれていません。そもそも88.7cmという大きさの割に身は薄くへん平なため武器としてではなく祭りの道具として作られたものなのです。
銅矛は、銅鐸、銅剣、銅戈(どうか)とともに、弥生時代を代表する青銅器です。これらはひろく西日本に展開します。中でも銅矛、銅剣、銅戈は「武器形祭器」、つまり武器の形をした祭りの道具とよばれています。いずれも朝鮮半島からの伝来当初は細身で小さく、本来の武器の機能を備えていましたが、日本列島では時期が降るとともに薄くへん平で大型化していき、独自の変化を遂げました。