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華厳五十五所絵巻断簡(普賢菩薩)

概要

華厳五十五所絵巻断簡(普賢菩薩)

絵画 / 平安

平安時代・12世紀

紙本淡彩

28.6x42.7

1幅

重要文化財

仏さまの教えを説いたお経の一つ、華厳経(けごんきょう)は奈良・東大寺では大切なよりどころとされています。これは、その中で説かれる内容の一つを絵巻にしたものの一部です。もともとの絵巻は東大寺に伝わりましたが、いくつかの場面が切りはなされた断簡となり、掛軸に仕立て直されました。
絵巻は、善財童子(ぜんざいどうじ)という裕福な家に生まれた心清らかな少年が、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の導きにより、仏教の教えを探す旅に出るというところから始まります。善財童子が五十五か所を巡って善知識(ぜんちしき)と呼ばれる人たちから教えを授かっていき、ついには普賢菩薩(ふげんぼさつ)のもとで悟りの境地に達するというものです。
右端でこちらに背を向け手を合わせているのが善財童子です。向いにいるのが普賢菩薩。その隣、画面中央にひときわ大きく描かれているのは毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)で、華厳経では中心的な仏さまとされています。偉業を成し遂げた善財童子を称える、クライマックスの場面です。
この絵巻には善知識の名前や出会った場所などの記述はありますが、詳細なストーリーは記されていません。おそらく、物語を楽しむというより、華厳経を学ぶために作られたものでしょう。柔らかい墨の線で輪郭を描き、朱や黄、緑といった色で淡く彩られています。素朴な表現で、ひたむきに教えを求めた善財童子の姿を丁寧にあらわしています。

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キーワード

華厳経 / 華厳 / Sudhana /

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