雨宿り図屏風
あまやど ずびょうぶ
概要
大きなお屋敷の門でしょうか、屋根の下に様々な人が集っています。空にはうっすらと雨の線が描きこまれ、傘をさす人物や、頭を覆って屋根に走りこむ人物を見ると、これが雨宿りの様子であることがわかります。
描かれているのは、傘に入れてもらう琵琶法師、獅子舞、魚売り、武士、破れた傘の隙間から外を見ている子どもなど、老若男女さまざまで、人間のみならず犬や馬まで雨宿りをしています。高いところにぶら下がっている子どももおり、生き生きと描かれた人びとの賑やかな声が、今にも聞こえてくるようです。身分も職業も様々な人びとが同じ屋根の下でともに雨をよける姿は、戦乱のない江戸時代を象徴する平和な眺めでもあります。
人物はあっさりとした描線と淡い色でそれぞれの表情やポーズが的確に描かれています。直線で丹念に描かれた背景の建築物に対して、雨に濡れた樹木はうるおいのある墨のにじみを用いてみずみずしくあらわされています。
作者の英一蝶(はなぶさいっちょう)は、17世紀後半から18世紀前半に活躍した画家で、都市の風俗を多く描きました。