赤いボラと銅器のある静物
概要
本作品のジュゼッペ・レッコへの帰属は、別添の鑑定書に基づく(ロンドンのサビン・ギャラリーのシドニー・F・サビンによる)。木枠には、旧所蔵者であるリチャード・フォードの名字が書きこまれている。
ジュゼッペ・レッコは、17世紀のナポリを中心に活動した画家で、猟の獲物、魚、果物などをとりあげる静物画を得意とした。 父ジャーコモ、叔父ないし兄弟のジョヴァン・バッティスタ、娘エレナ、息子二コラらも、エレナをのぞき静物画家である。ただしジュゼッペは、ナポリの伝統に属するにとどまらず、20歳以降のロンバルディアでの修行の過程でエヴァリスト・バスケー二スの影響を受けており、またカラヴァッジスム風の照明法をもしめすという。
なお、本作品における厨房における魚の図柄は、慣習的なものらしく、Ch.Sterling.Still Life Painting. New York,1981,pl.31(サロモン・ファン・ライスダ-ル作)やpl.58(ジョヴァン・ バッティスタ・レッコ作)と比較することができる(id.,p.91 参照)。 またSterling, id.,p.91-92 は、レッコなどナポリの静物画と、スペインのそれとの深い関係を指摘している。
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三重県立美術館