長崎唐蘭館図巻
ながさきとうらんかんずかん
概要
長崎唐蘭館図巻
ながさきとうらんかんずかん
伝渡辺秀石筆 (1639-1707)
江戸時代/18世紀初期
紙本著色
(唐館)35.8×487.7cm/(蘭館)35.8×399.2cm
2巻
落款・印章:なし
来歴:池長孟→1951市立神戸美術館→1965市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館
参考文献:
・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録 2019
・國立故宮博物院特別展『交融之美 神戸市立博物館精品展』図録 2019
・九州国立博物館『トピック展示 視覚×革命 異国と出会った江戸絵画―神戸市立博物館名品展―』図録 2013
・成澤勝嗣「怪鳥カズワル江戸を歩く―寛政元年渡来のヒクイドリー」(『神戸市立博物館研究紀要』第14号) 1998
渡辺秀石(1641- 1709)は長崎出身の画家。中国浙江省出身の薬種商で、黄檗僧に転じた逸然性融(1601-68)に画を学び、元禄10年(1697)には長崎奉行から初代の唐絵目利兼御用絵師に任命されました。「鎖国」下の長崎において、オランダ人は寛永18年(1641)に平戸から出島へ商館を移転し、出島内でのみ居住・交易が許可されました。中国人ははじめ長崎の町で雑居が許されていましたが、元禄2年(1689)密貿易対策のため唐人屋敷(唐館)で居住することとなりました。元禄12年(1699)には幕府勘定頭・荻原重秀(1658-1713)が長崎を巡察し、渡辺秀石に唐人屋敷と出島の絵図制作を命じています。本図巻はこの絵図の系譜を引くもので、唐人屋敷や出島における風俗を詳細に描いています。
【長崎ゆかりの近世絵画】