吹きガラス仙盞瓶
ふきがらすせんさんびん
概要
吹きガラス仙盞瓶
ふきがらすせんさんびん
江戸時代/16世紀後期
鉛ガラス
総高21.8 胴径13.2
1点
来歴:2002神戸市立博物館
参考文献:
・神戸市立博物館特別展『コレクションの精華』図録(2008)
・神戸市立博物館『ギヤマン展 あこがれの輸入ガラスと日本』(神戸新聞社、2014)
底をシノギ状にした胴部に、細い装飾的な注ぎ口と首の装飾とつなげたハンドルを熔着している。底は古くに破損したため、木製に溜め塗りを施した補修が日本で行われている。
もとは裾広がりのガラスのフット(底部)があったのだろう。黒味を帯びた素地、全体に小さな気泡が見られ、ヴェネツィアのクリスタッロの素地ではなく、ヴェネツィアの影響を受けてネーデルラントで作られた「ファソン・ド・ヴニーズ(ヴェネツィアン・グラスの流れをくむ高級ガラス器)」と推測される。収納箱に「ひいとろ せんさんびん ふた堆朱」と墨書があり、もとは堆朱の蓋(栓)があったことをうかがわせる。仙盞瓶(せんさんびん)とは、酒や水を入れるイスラム風の器形をもつ中国磁器の水注のこと。収納箱や台部の補修の古さから見て、オランダからの江戸時代の輸入であることは確かである。伝世品で17世紀後期まで上がるヨーロッパ製のガラス資料は極めて少なく、ファソン・ド・ヴニーズとしては曼殊院の脚付杯と並んで日本最古の「渡り」のガラスと思われる。
【びいどろ・ぎやまん・ガラス】