ナヴェ・ナヴェ・フェヌア(かぐわしき大地)
概要
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ポール・ゴーギャン(1848−1903)
GAUGUIN,Paul
ナヴェ・ナヴェ・フェヌア(かぐわしき大地)
Nave Nave Fenua (Land of Sensuous Pleasure)
明治26-27年(ポーラ版・大正10年)
1893-94(Pola edition,printed 1921)
東京国立近代美術館(山口貴久男・美恵夫妻寄贈)
1893年8月,2年にわたるタヒチ滞在からパリに戻ってきたゴーギャンは熱帯の夢想的かつ官能的な思い出にみちた紀行文『ノア・ノア』を飾るべく10点組の木版画の制作を企てる。これはその1枚。ただし,画家の息子ポーラによる後刷りである。翼のついたトカゲ(蛇の代わり)の姿をしたサタンの甘言により今にも堕落しようとする熱帯のイヴを描いたとされる,大原美術館にある同名の油絵に基づいているが,複雑で斬新な彫りを駆使し強烈なヴィジョンそのものを浮き上がらせるその手法は当時の低迷する木版画界に深い衝撃を与えた。