浅草寺伝法院 新書院
せんそうじでんぼういん しんじょいん
概要
浅草寺は古来より観音霊場として多くの信仰を集めた寺院である。伝法院はその本坊にあたり,中心伽藍の南西に位置している。客殿は安永5年(1776),玄関は翌6年の建築である。客殿は大規模な方丈形式の本堂で,仏壇を広く構える内陣三室を並べた平面構成に特徴があり,南には豪壮な玄関を設けている。書院群や台所は,明治後期から大正期に復興された建造物である。大書院は,室内の華麗な装飾,庭園の眺望に配慮した柱配置などに近代的な技巧を凝らしている。浅草寺伝法院の客殿と玄関は規模雄大で,江戸府内で近世に遡る希少な大寺院本坊の中心的な建築として,高い歴史的価値を有している。近代に整えられた書院群と台所も優れた意匠と形式になり,庭園と融合した後方空間を構成する建築群として重要である。