旧常田館製糸場施設 四階繭倉庫
きゅうときだかんせいしじょうしせつ よんかいまゆそうこ
概要
旧常田館製糸場施設は、岡谷出身の実業家笠原房吉が明治33年に創業した機械製糸工場で、現在は主にスチロール製品を製造する。
工場内には創業時から大正時代にかけて建設された繭倉庫群を中心に、製糸場時代の諸施設が残される。三階繭倉庫と五階繭倉庫は、多窓式と呼ばれる自然乾燥を前提とした繭倉庫の形式になる。一方、四階繭倉庫と五階鉄筋倉庫は密閉式の繭倉庫で、大正時代以降、乾燥機の発達により通風による乾燥が必要なくなったことを物語る。
旧常田館製糸場施設は、長野県で発展した多層の木造繭倉庫群を有する近代機械製糸工場の遺構として貴重であるとともに、わが国の製糸業の中心地の一つであった長野県の近代化を示す施設として高い価値が認められる。