レクション羽織・袴
れくしょんはおり ・はかま
概要
11代鍋島直大の着用と考えられる軍服。金ボタンで前身頃を留め、上衣袖口や下衣側面に上級士官であることを示す金線を巡らすさまは軍服のようでありながら、ゆったりとした筒袖や袴のような形状は羽織袴の名残をとどめている。上下とも羅紗地で仕立てられた重厚感のあるこの装束は、幕末、フランス式調練が伝わった時期に、調練服としてごく短い期間用いられたという(「レクション」とは「調練」の意味)。明治元(1868)年3月26日、大坂の天保山沖において天皇による各藩の軍艦の視察が行われ、佐賀藩の軍艦電流丸が旗艦として他の軍艦を率いた。その様子を描いた「天保山沖観艦式之図」(岡田三郎助筆、聖徳絵画館所蔵)には、この装束に似た軍服を身にまとう直大の姿が描かれている。