小鹿田焼の里
おんたやきのさと
概要
日田市の最北端、大分県と福岡県との県境に位置する小鹿田皿山・池ノ鶴地区は、北に英彦山を控え、耶馬日田英彦山国定公園の南西部を占める地域である。日田市北部を南流する小野川の源流の一つである大浦川及び五色谷川が形成した狭隘な谷地において両地区は形成され、水・土・木といった地域資源を巧みに利用した生活・生業が営まれてきた。皿山地区では、当地で採取される陶土を利用した小鹿田焼の生産が行われる。「唐臼」と呼ばれる陶土を粉砕する施設は河川の水力及びアカマツなどの木材を活用したものであり、窯焼きの燃料には周辺で産出される杉材が用いられる。池ノ鶴地区では、急峻な斜面地に当地に分布するプロピライト(変朽安山岩)を利用した石積みの棚田が形成され、「除け」と呼ばれる独特の水利システムによって営農が継続されているほか、シイタケ生産や杉材を活用した薪炭材生産が行われる。「小鹿田焼の里」は、英彦山系を源とする大浦川及び五色谷川によって形成された狭隘な谷間で営まれる、水・土・木等の資源を活かした窯業や農業といった生業が、当地における生活の在り方を示す重要な文化的景観である。