久井・矢野の岩海
くい・やののがんかい
概要
久井の岩海は、広島県御調郡久井町の東北部宇根山(標高六九八・九メートル)の山頂から南東に続く山稜部の南西側山腹の谷間にあり、「ごうろ」と通称されている。直径一〜七メートルの花崗岩の豆岩が、ゆるい傾斜の谷にそって帯状に累積している。「ぜにがめごうろ」(幅六五メートル、長さ五〇〇メートル)、「なかごうろ」(幅三五メートル、長さ四〇〇メートル)、「こごうろ」(幅三〇メートル、長さ一三〇メートル)、「おおごうろ」(幅九〇メートル、長さ三五〇メートル)の四か所から成る。
矢野の岩海は、国鉄■後矢野駅の西方約一・二キロメートルにあたる洞山の地域にあり、「ころもり岩」と通称される。北西に向ってゆるく流れる小渓谷に幅約五〇メートル、長さ七〇メートルにわたって花崗岩の巨岩が累積しており、その厚さは十数メートルに及び、巨岩は直径二〜八メートル、その空隙の底は広い洞窟状をなし、コウモリが生息している。
両者は、いずれも花崗岩地帯におけるはげしい気温変化などのため、節理や割目に沿って基盤岩が剥離・解体し、さらに化学的風化を受け、風化物が流れ去った結果、巨岩礫が残留累積した、いわゆる岩海現象の代表的なものと認められ、気候による侵蝕作用を示すものとして学術上貴重と認められる。
S39-06-018久井・矢野の岩海(天然記念物).txt: [[岩海]がんかい]というのは、基盤岩が急激な気温変化等の影響を受けて大きく割れ、さらに長年月の風化を受けて積み重なり、広大な面積を占めているものであるが、久井ではこの現象が5か所にわたり、広範囲にみられる。上下町矢野では特に、巨大な岩が多く、その空隙は深く広く、コウモリが生息している。同種の既指定のものでは山口県下に吉部の[[大岩郷]おおいわごう]と万倉の大岩郷がある。