嵯峨大念仏狂言
さがだいねんぶつきょうげん
概要
嵯峨大念仏狂言は清凉寺【しようりようじ】(嵯峨釈迦堂ともいう。)の法会に行われる狂言で、鎌倉時代末、京都で円覚十万上人が遊戯即念仏の妙理を広めるために始めたという三大念仏狂言(壬生・嵯峨・千本)の一つであり、狂言の演じられる大念仏会は能の「百万」という演目にも扱われている由緒あるもので、所蔵狂言面には天文十八年(一五四九)在銘のものがあるなどこの狂言の歴史の古さが知られる。
能楽ことに狂言の変遷過程を知る上にも重要な芸能史的価値の高いものである(昭和三十九年からは後継者養成が困難なため一時中断されたが、昭和五十年に復活され、従来の演目を今日では充分な状態で上演できるようになった)。
この嵯峨大念仏狂言は、清凉寺狂言堂で無言劇として演じられる。演目は、「夜討曽我」、「羅生門」などカタモンと称される能風の演目十二番、「愛宕詣」、「餓鬼角力」などヤワラカモンと称される狂言風の演目十二番とがあり、演技、曲種とも壬生狂言に似ているが、「釈迦如来」の演目は、ここ嵯峨のみの独自の演目であり、全体的に壬生狂言より、おおらかな古風さをよく保存しているものとして重要である。
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国指定文化財等データベース(文化庁)