鍋島直正書簡(貢姫宛)
なべしまなおまさしょかん(みつひめあて)
概要
10代鍋島直正から長女貢姫(1839-1918)に宛てた書簡。貢姫は安政2年(1855)、17歳の時に川越藩主松平直侯と結婚したが6年後に直侯は病没。慶応4年(1868)に佐賀城へ移り、その後明治4年(1871)、父直正の葬儀に上京して以来、東京鍋島家で過ごし、大正7年に80歳で亡くなった。これらの書簡は全192通、「菊花と水流」「雪持草花」「根引松に水引」など約30種の図様の料紙に認められる。時期は貢姫が松平家へ嫁す前の嘉永7年(1854)から慶応2年(1866)までの12年間に及ぶ。娘に対して自身のことを「爺」と記したり、藩政や時勢に関する率直な感想を述べるなど、藩主としてではなく、父親として、人間としての直正像を知りえる格好の史料群といえる。