大山崎瓦窯跡
おおやまざきかわらがまあと
概要
京都府西南端の、水運、陸運の要衝の地に所在する、平安宮の所用瓦を焼成した平安時代前期の瓦窯跡である。6基の窯を確認した。当時は平安京周辺各地の多数の瓦窯で大量の瓦を生産し、平安宮・京の造営を支えた。大山崎瓦窯跡はこの様な平安宮・京造営のための官営の瓦窯の一つである。大山崎瓦窯跡から出土した軒瓦は、平安宮朝堂院をはじめ、嵯峨院、河陽離宮に供給したことを確認している。
平安京に瓦を供給した瓦窯は、これまで栗栖野瓦窯跡、西賀茂瓦窯跡、吉志部瓦窯跡等が知られていた。大山崎瓦窯跡と西賀茂瓦窯跡や吉志部瓦窯跡から出土した瓦の比較では、瓦に文様を付けるための笵や工人の移動についても推測でき、官営の瓦窯相互の関係を示すものである。一方、大山崎瓦窯跡独自の笵で製作した瓦もみられ、これは平安時代前期の瓦供給の図式に新たな知見を加えるものである。
大山崎瓦窯跡は、平安宮造営期の瓦生産の実態を良く示すとともに、他の瓦窯跡との関連から当時の生産体制の様相を示す上でも重要である。