旧下ヨイチ運上家
きゅうしもよいちうんじょうや
概要
「運上家」とは、江戸時代に蝦夷地経営のため、場所請負制度がとられた際、知行主の交易場所を請け負う商人が場所内に設けたもので、支配人・通辞・帳役・番人などが常駐して、アイヌ人の漁獲した水産物あるいは手工品と、米・酒・塩・小刀などとの交易を行なったところである。
場所請負制度は、明治初年まで続き、請負場所の数は年代により差異はあるが、数十から数百に及んだ。ヨイチ場所は、すでに18世紀にはその存在が確認されるが、おおむね上下2つの運上家が設けられた。このうち下ヨイチ運上家は、嘉永6年(1853)に建てられたもので、現存する唯一の運上家であり、後世の改変を受けているが、軸部はよく遺存し、幕藩体制下の蝦夷地経営を知るうえで貴重な遺構である。