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五言絶句〈浦上玉堂筆/七十四歳の款記がある〉

ごごんぜっく

概要

五言絶句〈浦上玉堂筆/七十四歳の款記がある〉

ごごんぜっく

絵画 / 江戸 / 中部 / 愛知県

浦上玉堂

愛知県

江戸/1818

1幅

愛知県美術館 名古屋市東区東桜1-13-2

重文指定年月日:19880606
国宝指定年月日:
登録年月日:

愛知県

国宝・重要文化財(美術品)

 文化文政期を代表する文人画家、浦上玉堂(一七四五-一八二〇)筆の山水図三幅と詩書一幅である。現在の表装になる以前は、最上部に「秋色半分図」、その下に「酔雲醒月図」、その下の右側に「山水図」、左側に「五言絶句」というぐあいにつながって、一幅の画面を構成していた。詩書に七十四歳の款記があるので、画もまた同年の作ということになる。
 「秋色半分図」は「秋色半分 玉堂」、「酔雲醒月図」は「酔雲醒月 玉堂」、「山水図」は「玉堂」と記している。「五言絶句」は、自作と思われる五言絶句及び後序を隷書で四行に書く。「同知心登山。趺坐浪談々。倦仰臥草根。兩眼見青天。白雲遶半空中。或者羨余之閑適乎。玉堂。〓年七十有四」とある。いずれも「武内大臣之孫」朱文方印を押すほか、「秋色半分図」と「五言絶句」には関防印として「醉郷」白文長方印を押している。
 このうち「秋色半分図」は、円形を区切った中に、巧みに遠近を分かって山水を構成し、水気の少ない墨と淡彩を荒々しくこすりつける手法で、秋の気配なかばの自然を描いている。その筆致は、律動感に富んだ玉堂独特のものであり、正統的な画法を無視した奔放な筆触が、かえって、移りゆく自然の印象を繊細に表現することに成功している。隅切り二重郭の横長の長方形の中に描く「酔雲醒月図」、隅切り縦長の長方形の枠を取る「山水図」もまた、乾いた筆触を主調とする玉堂晩年の様式をよく示す山水図である。
 浦上玉堂の作品は、これまでに九件が国宝・重要文化財に指定されているが、「秋色半分図」は最晩年の傑作として、それらに比し遜色がない。また、「秋色半分図」を初めとする山水図三幅は、七十四歳の款記がある詩書一幅を伴うことによって、玉堂最晩年の基準作となるものである。

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