志野織部向付
しのおりべむこうづけ
概要
ロクロ成形後。側部の二方を内ヘ押して分銅形に整えた平向付である。短く立ち上がる側部を内へ絞り胴締めを施す。底部の削りは丁寧で、輪高台を削り出している。見込みには天狗の団扇を描き、外側部に問遺文をめぐらしている。全面に掛けられた長石釉には透明感があり、鉄絵は鱒やかに発色している。高台端部の釉は軽く拭き取られ、高台脇にかけてトチンを4ヶ所に付け、焼成時に匣鉢の底部に溶着しないように浮かせて焼成したことが窺える。見込みにはピン痕が4ヶ所に残る。この向付の鉄絵のタッチは鮮やかで、数多い織部向付の中でも屈指の出来栄えである。
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土岐市美濃陶磁歴史館