赤織部大鉢蓋
あかおりべおおばちふた
概要
扇面形の蓋物の蓋である。鉄分を多く含む赤土をベースに白土を混ぜて練り込んだ胎土を用いて扇面形に整形し、把手と桟を付けている。把手は粘土紐で梅の木をあしらったものである。施文は白泥の下絵に鬼板で輪郭や細部を表わす手法で、器形に沿って縁取りして把手の左側に梅花を、右側に土筆と杉菜を配し、梅の枝の間に飛ぶ鳥を描いた後、全面に長石釉を掛けている。練り込みによる白土の細かい筋が春霞の雰囲気を醸し出し、梅や土筆と相まって穏かな春の風景を感じさせる作品である。
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土岐市美濃陶磁歴史館