旧黒澤家住宅(旧所在 秋田県秋田市中通三丁目) 木小屋
くろさわけじゅうたく きごや
概要
秋田久保田藩の上級武士住宅遺構で、久保田城三の廓の東根小屋中丁(現中通り)に所在していたが、昭和六十三年に現在地の「一つ森公園」内に屋敷構え全体をそっくり移築した。黒澤氏がこの住宅に移ったのは文政十二年である。
道路に面して長屋門形式の表門を構え、庭をへだてて奥に主屋が建ち、主屋の背後に土蔵、米蔵、木小屋などが建つ。また敷地の東北隅に氏神堂があって、屋敷構えがよく整っている。主屋と表門は十八世紀前半の建築とみられるが附属屋は黒澤氏がこの屋敷に移ってから建てられた。
主屋は表側に玄関をもつ書院と、その背後に接続する台所から構成されており、上級武士住宅の形式をよくあらわしている。現存する武士住宅としては建築年代が古く、上質であり、附属屋をふくめて屋敷構え全体がそろっている点は特に貴重である。