金銅金錍
こんどうこんぺい
概要
密教法具の一つである金〓は、本来インドにおける眼病治療の器具から発したものとされ、それが仏教に取入れられて仏心眼を開かしめる意味で、灌頂【かんじよう】の儀式や仏像の開眼供養に際し用いられるようになったものである。
金〓の古例としては東京国立博物館のもの(重文、法隆寺献納宝物、平安時代)などが知られるがその数は少ない。本金〓は把の中央に鬼面を表わし、その上下に雄勁な鬼目をつけ、鈷部は匙面にして深い樋を入れ、両端に宝珠形を付した両珠式金〓である。
雄大な形姿や把部に鬼面を鋳出した特異な形式を示す遺例として貴重である。