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絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図

けんぽんちゃくしょくあみだにじゅうごぼさつらいごうず

概要

絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図

けんぽんちゃくしょくあみだにじゅうごぼさつらいごうず

絵画 / 鎌倉 / 東北 / 福島県

福島県

鎌倉

1幅

福島県立博物館 福島県会津若松市城東町1-25

重文指定年月日:19910621
国宝指定年月日:
登録年月日:

福島県

国宝・重要文化財(美術品)

 信者の臨終の際に阿弥陀如来をはじめとする聖衆【しようじゆ】が現前し、極楽浄土に迎え取るという『観無量寿経【かんむりようじゆきよう】』に説かれた来迎の情景を描いた図は、平安時代以降、浄土教信仰の興隆にともなって数多く制作され、その遺品も少なくない。
 本図は縦に長い画面の中央に、阿弥陀如来を中心に来迎する聖衆を左上方から画面下方の往生者に向けて対角線的に描いている。阿弥陀如来は右手を屈臂【くつび】し左手を垂下してともに第一・二指を捻じる来迎印【らいごういん】を結び、蓮台を捧げる観音菩薩や合掌する勢至菩薩のほか天蓋【てんがい】をさしかける菩薩等を描いている。阿弥陀聖衆は全身を金色で表しているが、特に衣部分の切金文様【きりかねもんよう】は精緻である。
 本図のような斜め構図で特に如来が立像で表される来迎図は、知恩院蔵阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎【はやらいごう】)を代表例として鎌倉時代に多く描かれている。『観無量寿経』に説く九品往生相【くほんおうじようそう】に奏楽菩薩【そうがくぼさつ】の記述はないものの、来迎聖衆中に諸楽器を手に奏楽する菩薩衆を描き加えることが来迎図として普通である。それに対して、本図が二十五菩薩すべてを楽器を持たずに舞踊する姿とし、描表装【かきびようそう】中に種々の楽器を配すという構成をとっていることはきわめて珍しい。聖衆のほかに龍を描き込む例も他に見られぬ特色である。また、画面上方に金色の日輪と銀色の線月を表すことも類例がない。さらに、聖衆の先導として往生者の庭先に二人の持幡童子【じばんどうじ】を表し、二飛天を描き加えるなどきわめて鑑賞性が高い。
 四季の草花を配し蝶や鶯を点景とする情緒豊かな自然景の描写はやまと絵資料としても貴重であるが、特に枕頭に阿弥陀三尊来迎図を懸け引〓【いんきん】を持った善知識を表すなど、臨終の情景が克明に描かれており、当時の風俗を知る上でも注目される。
 如来以下の諸尊が皆金色【かいこんじき】で表され聖衆の動きが賑やかであること、諸尊の面相表現や、特に切金文様の種類の多様さと細緻さなどを勘案すると、制作時期は鎌倉時代後期と思われる。表現技術の優秀な、他に例をみない独特の図様をもった鎌倉時代来迎図の大作である。
 本図はもと福島県会津若松市にある浄土宗鎮西義藤田派【ちんぜいぎふじたは】の名刹、高巌寺【こうごんじ】に伝来した。

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