紙本著色四都図・世界図〈/八曲屏風〉
概要
四都図・世界図は当時の海外に対する熱烈な志向を反映して描かれたものである。この都市図は、イスタンブール・ローマ・マドリッド・リスボンの四都市を描いているが、絵地図からクローズアップして描き、一種の風景画に仕立てようとする作者の新しい制作意図がうかがわれる。また、世界図はオルテリウスの原図を参考にしているが、日本列島、朝鮮以北に若干の修正を加えて完成し、華麗な色彩で万国を塗り分け、他には見られない装飾性の加わっているのが注目される。なお都市図の上に描かれた騎士・男女図が他の洋風画屏風にも描かれていることや陰影法を多用する点から、原図より新技法を学ぶ機会の多かったセミナリオ(天正八~慶長一九、一五八〇-一六一四)出身の作家が制作にたずさわったことが考えられる。