山村風景
概要
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浅井 忠(1856-1907)
ASAI,Chu
山村風景
Scene in a Mountain Village
東京国立近代美術館蔵(鈴木光氏寄贈)
浅井忠は,日本における洋画の先駆者の一人であるが,油彩画とともに多くの水彩画を描いており,とりわけ滞仏中に描かれたグレー村の風景は明治期水彩画の白眉と言われる。水彩の簡便さを生かした野外での写生は,「風景」との出会いをもたらした。この作品に見られるような取り立てて景観に優れているということでもない場に「風景」を見いだし,描くということもまた,西洋画の技術の導入とともに拓かれ始めた新しい感性であった。