彩雨
概要
42 川合玉堂 彩雨 1940年
本図は1940年の紀元2600年奉祝展に出品された玉堂の代表作のひとつ。水車を打つ流れの音と彩られた紅葉を遠く叩く雨音が呼応して聞こえるようだ。玉堂は四条派と狩野派を学んで独自の温和な風景描写を確立した、近代日本画史上忘れられない画家といえようが、この作品に見られる自然と画家との親密な関係こそ、その画業を支えるものであった。この作品が発表されたまさにその月に大政翼賛会が結成されるという世情不安の中で、ひたすら自然美とそこに生活する人々にむけられる画家のまなざしは、日本人への慰藉にみちている。