扇地紙菊金銀歩揺簪
おうぎじがみにきくきんぎんびらかんざし
概要
真鍮製銀鍍金、二本足、耳掻付きの歩揺簪で、一対(263と264)揃いで伝わる。扇地紙形の透かしに銀製の菊花と金銅製の菊の蕾の飾りと、銀製の蝶と短冊の歩揺飾が下がる。歩揺簪は寛政年間に流行し、鎖の先に蝶や鳥・小鈴などを付けて、歩くたびに揺れ動いて音がするようにしたもので、主に上流階級で用いられて華美を極めた。文化・文政頃に江戸で廃れ、その後上方でも廃れて文久頃には全く絶えたとされるが、実際には近年まで作られ、使用されていた。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。