石製模造品 短甲
セキセイモゾウヒン タンコウ
概要
古墳時代前期から中期(4~5世紀)にかけて各種の石製品がつくられ、古墳に副葬されたり祭祀の場で用いられたりした。 奈良県桜井市のメスリ山古墳から出土した椅子形の石製品は当時の大王クラスの人物が座った腰掛けを表したものである。 石製合子には濃緑色の碧玉と淡緑色の軟質石材を用いたものとがある。前期古墳からいくつか見つかっているが例は多くない。 奈良市の富雄丸山古墳からは合子のほかに琴柱形石製品や斧頭・刀子・ヤリガンナ・ノミなど工具を模した石製品が多数出土している。栃木県の雷電山古墳からは短甲や盾といった武器形の石製品のほか、銅鏡を模した品も見つかっている。さらに千葉県滑川町出土と伝える石枕は古墳に葬られた遺体の頭部の下に置かれたもので、周縁の小穴には石製の立飾りを差し込んでいたらしい。 このような石製品は日本の古墳時代に特有の遺物と考えられていたが、近年韓国全羅北道扶安の竹幕洞祭祀遺跡から同様の石製品が出土しその関連が注目されている。