麗花集断簡 香紙切「とゝまらぬ」
れいかしゅうだんかん こうしぎれ とどまらぬ
概要
平安時代の私撰集『麗花集』の3首(そのうち1首目は後半、3首目は前半)を書写した断簡。『麗花集』は散佚歌集で、写本としては伝小野道風筆「八幡切」と「香紙切」が知られるのみである。「香紙切」の名は、防虫のため、香染め(丁字染め)の料紙を用いていることから名付けられた。
伝承筆者の小大君は、三十六歌仙の一人として知られる女流歌人。その書は連綿を多用し、鋭い線質で、自由奔放・リズミカルな筆致で揮毫する。平仮名の字体が11世紀半ばに典型化された後、仮名の書風が多彩に展開する時期の作例の1つであり、11世紀末頃の筆写と考えられている。