壺形土器
つぼがたどき
概要
縄文時代後期の東北地方を中心に分布する土器。胎土の白色と部分的な赤彩による赤白のデザイン性を高めた渦巻文や頸部の橋状取手が特徴的である。赤彩は2種類あり、渦巻文の赤彩は土器焼成前に、口縁部の赤彩は土器焼成後に行なわれている。胴部上半部には、粘土紐接合部で水平方向に2箇所の割れ口が認められる。上方の割れ口は角が少し取れ、下方の割れ口はシャープであり、時間差が考えられる。土器内面には、胴部中央の垂直方向に覆土が円形に堆積した痕跡が認められ、横位での埋納が想定される。この土器の分布圏では、洗骨した遺骨を壺に納めて埋葬する再葬墓が流行したが、壺は焼成前に水平方向に切断される事例や、稀に焼成後に割り取ったものが知られている。本品がどのような性格を持つかは今後の検討が必要である。