秋山遊猿図
しゅうざんゆうえんず
概要
山中に遊ぶ日本猿や鹿たち。松樹や岩は円山派の表現だが、動物の迫真の描写は狙仙の真骨頂。毛並みの描写が圧倒的だ。もと襖二面分で、両端の引手@ひきて@の痕を金砂子で隠している。右下の落款「狙仙筆」に「狙」の字を用いているので、筆者の還暦以降の作である。
狙仙は大坂の画家で、猿描きの名手として知られる。はじめ「祖仙」と号したが、文化4年(1807)、61歳の還暦を機に「祖」を「狙」(猿の意)と改め、「狙仙」と号した。狙仙にはじまる森派は、近代の森寛斎@かんさい@につながっていく。