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桜花図

おうかず

概要

桜花図

おうかず

絵画 / 江戸

広瀬花隠筆

江戸時代・19世紀

絹本着色

各103.9×35.1

1幅

 左右でセットになった掛軸(かけじく)に、内側に向かって伸びる桜が左右1本ずつ描かれています。正面、うしろ、横向きなど様々な方向を向いた花や蕾は立体的で、よく描き分けられています。花びらをよく見ると、輪郭線は使わずに、色の濃淡で一枚ずつ丁寧に表現されています。
 作者の広瀬花隠(ひろせかいん)は京都の画家で、桜を描く名手(めいしゅ)として知られる三熊花顚(みくまかてん)に教えを受けました。他の弟子らも含め彼らは桜だけを描き、彼らの絵は「桜画(さくらが)」と呼ばれました。
 桜の花びらに注目してください。右の掛軸の花びらは白い絵具のみで描かれているのに比べ、左の掛軸の花びらは少しピンク色です。これは左右の掛軸で異なる品種の桜が描かれているためです。このように、さまざまな種類の桜を描きつつも、決して他の植物や風景などは組み合わせず、桜を単体で描く手法は「桜画」の特徴でもあります。
 桜の品種は江戸時代・17世紀に急速に増え、花隠が活躍していた18世紀末から19世紀の初めには250~60種に及んだと言われています。そのような時代に桜を描くことに専念した彼らは、誰よりも桜に魅せられた画家たちなのかもしれません。

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キーワード

/ 品種 / 桜花 /

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