刀 無銘
かたな むめい
概要
鎬造、大鋒。身幅広く元先の幅差少なく、重ね厚い。表裏ともに棒樋を掻き流す。鍛は板目に杢目を交えて映りが立つ。刃文は角張る片落ち互の目を基調として腰の開いた互の目を交え、小沸つく。帽子は乱れ込んで尖って返る。茎は大磨上無銘、先刃上がり栗尻、鑢目筋違、目釘孔3つでうち2つ埋める。本品は大磨上無銘だが、その作行から兼光の作と目される。兼光は『観智院本銘尽』に「長船流景光子」とあり、光忠、長光、景光と続く長船派正系の刀工である。太刀、短刀ともに比較的現存作例は多く、確認されている作刀時期は少なくとも元徳(1329-32)から貞治(1362-68)までの約40年間に及ぶ。このうち、観応(1350-52)あたりを境として作風が大きく変化するが、本品の場合はやや鋒は大振りではあるものの、刃文のさまや体配から前半期のものとみられる。