胞胎経断簡(藤原継縄周忌一切経)
ホウタイキョウダイカン(フジワラノツグタダシュウキイッサイキョウ)
概要
奥書に「贈従一位右大臣兼行皇太子傅中衛大将藤原朝臣誓願 延暦十六年(七九七)六月十一日」とあり、この人物は『続日本紀』の編纂者、藤原継縄(七二七~九六)に該当する。継縄は前年の七月十六日に没しており、本経はその一周忌に際し書写されたものか。知恩院蔵の重文『菩薩地持論』十帖にも同文の奥書がみられることより、一切経として書写されたものと推測される。平安時代前期の年号を有する貴重な遺例といえる。