呉王伍子胥画像鏡
ゴオウゴシショガゾウキョウ
概要
2~3世紀頃に揚子江流域で多く作られた画像鏡の中でも、類例の極めて少ないものである。内区の人物に「子胥」「呉王」「越王」の添え書きがあるので、春秋時代末期の呉越の争いを巡る故事を描いていることがわかる。手にした長剣を頚にあてて自刃しようとする伍子胥の忿怒の表情や姿勢などが、生き生きと表現されている。 越王勾践を打ち負かした呉王夫差に、賢臣の伍子胥はこの好機に宿敵の越王を殺害することを進言するが、呉王は、越王から美女や宝物を贈られた大宰の勧めに従って、越王の命を助けてしまう。その後、この大宰のざん言を信じた呉王は、呉子胥に属鏤の名剣で自刃するように命じる。呉子胥は、呉王の愚かさを罵りながら自刃して果てる。なお、内区の女性2人は、類例に「越王二女」あるいは「玉女二人」の添え書きがあるので、越王が呉王の大宰に贈った美女であろう。