舎利容器
しゃりようき
概要
舎利(しゃり)とは古代インドのことばで遺体や遺骨を意味し、仏教の場合、仏教を開いた釈迦の遺骨を指します。その舎利を納めるために造られた容器です。
轆轤(ろくろ)を使って丸太の内側をくりぬき、形をととのえ、外側に麻布(あさぬの)を貼り、その上に色を塗っています。蓋にはさまざまな楽器を演奏する翼をもった人物や、オウムやキジに似た鳥を描いています。この人物をよくみてください。鳥の翼をもつ者もいれば、虫の翅(はね)をもつ者もいます。また身の側面には、仮面舞踊(かめんぶとう)や楽団を描いています。これは当時の中央アジアの芸能を知る上でも、重要な手掛かりとなっています。
20世紀のはじめ、大谷光瑞(おおたにこうずい)という人物が、仏教研究のための資料を収取する目的で中央アジアに探検隊を派遣しました。いわゆる「大谷探検隊」です。この舎利容器は、大谷探検隊が中国の西北部に位置する新疆(しんきょう)ウイグル自治区クチャ地域を調査した際、スバシ遺跡と呼ばれる寺院跡から出土したと伝えられています。