イギリス領事裁判録
いぎりすりょうじさいばんろく
概要
「イギリス領事裁判録」は、明治29年から32年にかけての、神戸のイギリス領事法廷における、刑事事件の裁判記録です。英文で手書きされており、原告と被告の名、主張の内容が記されています。日本人とイギリス人の間の裁判だけではなく、外国人とイギリス人の間の裁判も含まれています。
最も多い事例は、船長が船員の職務放棄や暴行を止めさせようとするものですが、日本人と外国人との間に紛争が起こったという例もあります。例えば、2人の外国人が、税関の門を人力車で通過しようとしたので、税関の日本人が呼び止めたところ、外国人が強行突破したため紛糾し、暴行事件へと発展したというものです。神戸における日本人と外国人との摩擦としてよく語られるのは神戸事件ですが、この資料は、国や藩のレベルではなく、庶民の一人一人の生活のレベルにおいて、異文化の人々が隣り合って生活する際に発生しえた社会的摩擦の一例を語っています。
なお、神戸市立中央図書館には、明治4年から5年にかけての「イギリス領事裁判録」が所蔵されています。
【近代の神戸】