手打針製作
てうちばりせいさく
概要
手打針製作とは、染織品の縫製や刺繍等に用いられる針を製作する技法である。
針は、衣装等の製作に用いられる様々な工芸技術を支える最も基本的な用具であり、古来、多種多様な形態の針が発達してきた。伝統的な手打針の製作工程には、原材料である針金の切削、針頭(かぶと)の成型、穿孔(せんこう)、焼き入れと焼きなまし、研磨等があり、それぞれに精密かつ高度な技術が必要とされる。
手打針は、多彩な工芸技術の内容と意匠表現に対応するように、太さ、長さ、針頭や針孔(めど)の形、先端の尖り等が細やかに調整されたもので、極めて多種にわたる。使用する糸の色艶を損ねず、速く正確に縫えるよう形状に工夫が重ねられ、機能性が高い。しかし、明治時代に欧米から新たな技術が導入され、それ以来、機械製の針が広く普及し、手打針の存在を凌駕するようになった。
今日においても良質の手打針は、日本刺繍のような伝統的な工芸技術や、染織品等の有形文化財の保存技術のために不可欠のものであるが、製作者が激減し、供給が危ぶまれている。
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国指定文化財等データベース(文化庁)