旧松本区裁判所庁舎
きゅうまつもとくさいばんしょちょうしゃ
概要
旧松本区裁判所庁舎は,明治41年に松本城の二の丸御殿跡に建築され,昭和57年に現在地の「松本市歴史の里」に移築された。
両端に翼部を付けた左右対称の立面で,中央に車寄を構え,全体を和風意匠でまとめる。平面はH字形で,南翼部に支部訟廷,北翼部に区訟廷などを配する。訟廷には被告人,弁護士等のための出入口を設けて判事との動線を明確に分け,訟廷内部では判事席とそれ以外の部分の床に段差を設けるなど,明治後期の区裁判所庁舎の典型的な特徴をよく示す。
明治期に全国で数多く建てられた和風の裁判所建築のうち,最も完成度の高い遺例として,高い歴史的価値が認められる。