頼光大江山入図大花瓶
らいこうおおえやまいりずだいかびん
概要
高さが1メートルを大きく超える巨大な一対の花瓶です。三段に重なる台には、鬼と麒麟(きりん)がまるでその重さを支えるように配置され、上部の花瓶の胴には「酒呑童子(しゅてんどうじ)」という物語のシーンが浮き彫りのようにあらわされています。花瓶の口は大きく開き、その内側には水の流れに漂う扇、外側には雲龍の文様があり、花瓶の左右の耳と呼ばれる部分はアザミの枝葉をかたどっています。この花瓶は、液体になるまで熱を加えた金属を型に流し込んで作る「鋳造(ちゅうぞう)」という技法でつくられ、無数のパーツを組み合わせて、花瓶のかたちとしています。花瓶は巨大にもかかわらず、各モチーフを徹底して緻密にあらわし、作者の卓越した技術がうかがえます。
この作品をつくった横山孝茂・孝純親子は、江戸時代の終わりから明治時代はじめの人で、古くより鋳造製品の一大産地であった富山県高岡を中心に製作を行っていました。花瓶が作られた明治時代のはじめ、日本は自分の国の高いものづくりの技術を世界に示し、その作品を盛んに輸出しようと考えていました。この花瓶は、明治6年(1873)に世界中の物産を集めて開かれたウィーン万国博覧会に出品されたもので、日本の高い技術力を示すものとして世界中の人々を驚かせました。