江戸城石垣石丁場跡
えどじょういしがきいしちょうばあと
概要
伊豆半島とその周辺に分布する,慶長9年(1604)から寛永13年(1636)にかけての,江戸城改修に伴う「公儀御普請(こうぎごふしん)」で用いる石垣の石材を採石,加工した石丁場の跡である。海岸近くか,河川沿いなど水運の便の良い山中に立地しているものが多く,採石と加工を行う山中の作業場,搬出前の石材をとどめ置く仮置き場,石材の搬出路である石曳道(いしびきみち),船積みを行う港などからなる。山中の作業場は,いずれの場所でも石材の割り取りのために矢穴が打たれた石材の散布からその所在を把握することができる。
江戸城を構築する上で,大量に必要とした石垣用石材の産地として,その採石・加工・運搬技術やそれに伴う労働力の編成を知る上で重要であるだけでなく,江戸時代前半における諸大名の編成をはじめとする「公儀御普請」の実態や,その背景にある社会的・政治的動向を知る上で重要である。現在,確認されている170箇所を超える石丁場跡のうち,特に規模が大きく,保存状態が良好であり,採石から搬出までの工程が把握できるものを指定する。