有川家住宅(滋賀県彦根市鳥居本) 粉挽蔵
ありかわけじゅうたく こびきぐら
概要
有川家は、中山道の鳥居本宿に所在する製薬業を営む商家である。18世紀の初めに本家から製薬業を引き継いで分家し、本家の隣地に住宅を構えたと伝わる。
街道に面して建つ主屋は宝暦9年(1759)の建築で、文化5年(1808)に上段の間をもつ良質なつくりの書院を増築した。あわせて二階の一部を増築したため、屋根が重なり合った複雑な外観を呈する。
三棟の土蔵のうち文庫蔵は寛政7年(1795)の建築で、細部に彫刻を施すなど凝った意匠をもつ。粉挽蔵は薬草の製粉、大蔵は丸薬の製造に用いられた。
有川家住宅は、江戸時代に近江の地場産業として発展した製薬業を営む商家の遺構として貴重であるとともに、江戸時代に整えられた屋敷構えを伝える町家建築としても重要である。