金紅段枝垂桜尾長鳥模様唐織
きんべにだんしだれざくらおながどりもようからおり
概要
紅地に金の緯糸で段をなし、萌黄糸で幾筋もの垂直に並ぶ枝垂桜の枝と葉を表し、様々な色緯で桜花と尾長鳥を織り表している。同趣の唐織は東京国立博物館にも所蔵されている。
この唐織に描かれている尾長鳥は、尾羽が長い鳥というほどの意味である。江戸時代の絵画、建築彫刻、工芸意匠にしばしば登場する鳥で、そのモデルは尾長や山鵲、授帯鳥、三光鳥などの名で伝えられる。いずれも実在の鳥で、それぞれ鳥類学上は異なるが、吉祥の鳥として時に混同したり、区別していたようである。しかし、その姿と、重要文化財「桜山鵲蒔絵硯箱」(個人蔵)という室町時代の硯箱に「桜に山鵲」という取り合わせ事例があることから、山鵲である可能性が高い。