薩摩硫黄島のメンドン
さつまいおうじまのめんどん
概要
薩摩硫黄島のメンドンは,奇怪な容姿を有し,畏くも怖ろしいものとされており,八朔の行事日となる旧暦の8月1日,2日に現れ,人びとの邪気を追い祓う。
1日の夕方,熊野神社前の広場で若者たちが輪になって太鼓踊りを演じていると,突如,拝殿奥から1体のメンドンが走り込んできて,踊り手の周囲を3周し,去っていく。これが終わると,次々とメンドンたちが走ってきては,踊りの邪魔や,飲食に興じる観客たちの中に分け入るなど,悪戯を始める。手には枝葉を携えており,これでしきりに叩く。叩かれると魔が祓われてよいという。こうして,メンドンらは神社を出たり入ったりしながら,せわしく駆け廻るが,翌日の夜中まで所かまわず出没,徘徊している。
翌2日には,叩き出しといって,島を一巡する太鼓踊りがある。このときメンドンは隊列の先頭につくことになっており,所定の場所に到着すると,揃って海に向かって悪いものを追い祓う。こうして,最後は神社に戻って締めの踊りをし,あとは花開きと称する直会となって,行事は終了する。
(※解説は指定当時のものをもとにしています)