るりみつどり
るりみつどり
概要
首をもたげ、花を見つめるような鳥。重複する足や体の輪郭線が、軽快な鳥の動きを表すようです。ルリミツドリは、ホオジロ科の小鳥。中央及び南アメリカが生息地といいますから、動物園での観察をもとに描いたものでしょうか。
京都市出身の須田国太郎(1891-1961)は、京都帝国大学で美学・美術史を学び、大学院在学中に関西美術院でデッサンを学びました。大正中期に渡欧、プラド美術館などに通いつつ、独学で研究を続けます。帰国後は、1932年の初個展を経て、独立美術協会に入会。西洋の表現様式を皮相的に摂取するのではなく、東洋の歴史や文化と融合した絵画を目指し、独自の表現を追求しました。
この作品では、絵の具の削り落としを効果的に用いて、重層的な色彩と変化のある絵肌を獲得しています。要所に明るい色を配して、黒という色の魅力を際立たせた画面からは、油絵の具の特性を活かした造形手法とともに、東洋的な色彩への志向も感じられるようです。