風神雷神
ふうじんらいじん
概要
風神雷神図といえば俵屋宗達の国宝の屏風(京都・健仁寺蔵)が有名ですが、橋本雅邦による本作品は、宗達のそれとは二神の配置が逆で、その姿態も異なっています。右の雷神は渦巻型に意匠化された雷雲に乗り太鼓のばちをふりあげて、恐ろしい形相で下界を見下ろしています。一方、左の風神は、やや神妙な面持ちで口許を結び、抱え持った風袋から勢いよく風を吹き下ろしています。野派の描法だけでなく同時代の新しい表現を貪欲に自身の創作のエネルギーへと変えた雅邦らしく、本作も画家の独創的な創意工夫が垣間見られる画面に仕上がっています。
橋本雅邦は、江戸木挽町(現在の東京都中央区)の生まれ。1884年 狩野芳崖らとともにフェノロサの鑑画会に参加。1889年に開校した東京美術学校では、狩野派の教授として教鞭をとります。1898年の東京美術学校騒動に際し同校を辞職、岡倉天心らとともに日本美術院を創設しました。横山大観、菱田春草、川合玉堂ら幾多の俊秀を育て、近代日本画の礎を築きました。