爵
しゃく
概要
商代後期の、目、鼻、口、角などがバラバラに浮き彫りで表わされた饕餮文を飾る例である。このような文様を散開饕餮文(さんかいとうてつもん)といっている。同じ表現の文様がつけられている爵(しゃく)と觚(こ)を左右に並べてみた。これらは商代後期の後半の作品で、鋳造技術が最高潮に達した頃のものである。手が切れそうなほどシャープな鋳上がりで、鋳造時の銅の扱いに非常に習熟して高度な技術を持つ工人によって製作されたことがうかがわれる。
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.22, no.14.