黒川能
くろかわのう
概要
東田川郡櫛引町黒川の春日神社の二月一日、二日の王祇祭に演じられる能楽で、上座、下座に分かれ、それぞれの頭屋【とうや】および神社の拝殿で演じられる。頭屋では、大地踏、式三番、能、狂言を徹宵して舞い、続いて神社では、上、下両座の交替で、頭屋で演じた曲を再演する。「大地踏」は、七才以下の稚児が九種の特殊な足踏みの型をしめし、開口風の祝言を朗々と唱えるなど、その演技、演出法は本流となる能楽の影響をある部分では受け容れ、またある部分ではきわめて民俗的色彩の濃い要素を示すなど、芸能史的に重要である。