南河内橋
みなみかわちばし
概要
南河内橋は,市内を流れる大蔵川上流に位置し,大正15年11月竣工の道路橋である。官営八幡製鉄所の用水確保のために設けられた河内貯水池に架かり,橋長133m,幅員3.6mの下路式鋼製二連レンティキュラートラス橋である。設計は,製鉄所技師の沼田尚徳と足立元二郎の指導監督のもと,製鉄所技手の西島三郎により行われた。
主構は,径間66mで,正立及び倒立の曲弦トラスを上下に組み合わせて紡錘形とし,垂直材で床版を吊る特異な構造形式である。部材の格点は全てピン結合としている。
南河内橋は,我が国の鉄鋼産業発展の中心を担った旧八幡製鉄所が直営で設計施工した数少ない鋼橋のひとつとして貴重である。また,合理的で明快な部材構成と,独特な形状のレンティキュラートラス形式の橋梁として,我が国の近代唯一の遺構であり,橋梁技術史上,高い価値がある。